とりあえずブッカー賞から

年明けに、児童文学系の学会に入会したこともあって、ちょこちょことニューベリー賞とこれは関係ないけどブッカー賞受賞作を読み返す。とりあえず手持ちのなかから、98年に受賞したイアン・マキューアン Amsterdam を。痴呆の末、哀れな最後を遂げたモリー・レインの葬儀には、作曲家のクライヴ・リンリー、新聞社の編集長ヴァーノン・ハリデイ、外務大臣のジュリアン・ガーモニーら、かつての恋人たちも列席する。ストーリーはこの元恋人三人を軸に展開し、彼らがモリーの遺したある猥雑な写真に翻弄される様を描いている...のだけど、どうなんでしょう、これ。話の展開はちょっと間延びした感があるし、ラストも大体予想つくし。これよりも Enduring Love の方が遥かに出来が良いと思います (どちらも翻訳出てます)。実際、97年にEnduring Loveブッカー賞をあげそこなったから、翌年にそれほど出来のよくないAmsterdamを受賞させたなどとまことしやかな噂も流れているそうな。ちなみに97年度の受賞作は、精力的に政治運動も行っているアルンダティ・ロイの『小さきものたちの神』。

Amsterdam Enduring Love 小さきものたちの神